犯罪・刑事事件の解決事例
#過失割合 . #慰謝料・損害賠償 . #人身事故

当事者双方が青信号を主張している出会い頭衝突事故において、双方に証拠がないながらも、当方が青信号として過失0となった件

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草道 倫武 弁護士が解決
所属事務所町田シビック綜合法律事務所
所在地東京都 町田市

この事例の依頼主

40代 男性

相談前の状況

相手方から、自動車の物損について損害賠償請求の訴えを提起されていました。相手方の信号が青、依頼者側が赤信号を無視して相手方に衝突したとして、自動車の修理費用を求めるというものでした。相手方には、弁護士が付いています。当初は、依頼者がご自身で、司法書士に相談をしながら進めていました。ご相談に応じたときには、既に、次回の裁判期日では証人(当事者)尋問手続きを行う予定であり、結審に向けて訴訟はかなり進行している状況でした。一方、依頼者の方は、自身のバイクも破損し、かつICUにて治療を受けるほどの傷害を負いながらも、その損害を求める手続き(反訴請求)すらしてません。当職が見る限りにおいて、相手方の主張に対して十分な反論ができていないので、このままいけば、依頼者の敗訴が濃厚のように判断しました。また、ご自身の損害について裁判上の請求をしていないので、このままでは、相手方の損害の全額を負担しなければならい上、ご自身の損害は何ら賠償してもらえないという危険な状況でした。

解決への流れ

結果として、依頼者の完全勝訴で終わりました。依頼者の言い分が認められ、依頼者側の信号が青、相手方が赤信号を無視して依頼者に衝突したものとして、相手方が求めた賠償請求は全部棄却され、依頼者が求めた賠償請求が認容されました。すなわち、依頼者は相手方への賠償の支払いを免れただけではなく、ご自身の損害分の相手方(保険会社)から払ってもらうことができました。なお、この訴訟は、簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所まで進み、相手方の提訴から高裁判決の確定まで3年を要しました。

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草道 倫武 弁護士からのコメント

ご相談後、当職はすぐに受任し、裁判所に対して、当職が代理人に就任したことを連絡し、次回の裁判期日で予定されていた証人(当事者)尋問手続きを延期するよう求めました。その上で、依頼者側の主張を整理して不足する部分を改めて主張し直し、かつ相手方の主張の不当な点に対して有効な反論を行いました。これと並行して、ICUにて治療を受けたという傷害内容から後遺障害の有無を判断するために、依頼者に後遺障害診断書の取得を依頼しました。そして、当職にて、依頼者側の信号が青、相手方が赤信号に違反して依頼者に衝突したということを根拠に、依頼者の治療費や入通院慰謝料(結局、後遺障害はないとの判断のために、後遺障害慰謝料、逸失利益は請求していません。)、休業損害のほか、バイクの修理費等の損害賠償の反訴請求を行いました。争点は、どちらの信号が青だったのかという点です(治療の相当性なども争点にありました。)。十字路の交差点における出会い頭の衝突事故なので、双方が青信号ということはなく、どちらかが必ず赤信号です(双方が赤の場合もありますが。)。双方ともにドライブレコーダーをつけておらず、かつ事故の時間帯からも目撃者もいない状況のために、証拠もなく証人もいません。裁判では、争点において証拠や証人がない場合、立証ができなかったとして負けてしまうのがルールです。それでは、証人や証拠もないなか、依頼者の言い分が認められ、依頼者側が青信号であったと裁判所によって認定されたのでしょうか。それは、相手方に対する尋問手続きにおいて、上手く相手方から矛盾点を引出させて、それを的確に指摘し、裁判所に対して、相手方の言い分は全く信用性に欠けるということを訴えることができたからだと考えます。前述のとおり、本件は、終結まで3年も要しましたが、証拠や証人がない場合でも、勝訴に導くことができる場合があります。ただ、そのような訴訟手続きは弁護士にしかできません。訴訟にはコツやお作法もあります。ご自身で訴訟手続きを進めることも一つの方法ですが、弁護士に依頼するかどうかの判断をするためにも、一度、弁護士に相談することをお勧めします。