この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
借金のほとんどを投機で失い、かつ相談時には失業中で収入も無い状態の方でした。免責不許可事由があることは明らかですが、初めての破産であり、誠実に報告をすれば裁量免責を受けることは可能であるとの見込みを伝え、破産申立てのご依頼を受任しました。ただ、管財事件とされることはある程度覚悟していただくようお願いしました。
解決への流れ
裁判所に破産を申し立てたところ、案の定、即日に破産決定は出ず、口頭審査期日が指定されました。口頭審査期日までの間、追加で報告を指示された事項や、申立後に判明した事実について、資料を添付して裁判所に提出しました。また、面談やメールでの議論を重ねたうえで、ご本人が作成した反省文も提出しました。その結果、口頭審査期日の指定は取り消され、同時廃止の決定を得ることができ、その後、免責の決定も得ました。
申立後、私自身が腑に落ちない部分について依頼者に改めて確認を繰り返し求めたところ、申立書に記載した内容と異なる事実がいろいろと判明するに至り、「これは管財事件にされることは不可避か」「免責も危ういかも」と心配しました。しかし、裁判所に嘘を付くわけにはいきません。ご本人の了解を得て、判明した事実を出来る限り誠実かつ詳細に裁判所に報告しました。それが裁判所が口頭審査で確認したいと考えていた疑問点の解消につながったのか、速やかに同時廃止の決定を得ることが出来ました。依頼者が正直に事実を話してくれることで弁護士は最善の方策を考え、不利な事実についても裁判所への報告の仕方を工夫するなどして影響を最小限に留めることができます。そのことを改めて再認識した事案でした。